いつもみなさん、ありがとうございます。
これは凡例を読む限り、何を底本にしたのかわからない、さらには真蹟や写本の所在も、伝来も由来も全く述べられない有様で、要するに字を大きくして見やすくして、ごく少数の遺文を入れ替えるだけの編集でしかなかったものです。偽書の疑いの強い『御義口伝』『百六箇抄』『二箇相承』もそのまま何の文献的説明もないままに収録されています。
「編集方針のわからない新版御書」
「創価学会の新版御書全集と、それ以外の御書全集との目録の違いについて」
上記二つの記事をお読み頂ければ、おわかり頂けるかと思います。
こんな御書全集を刊行して信徒に研鑽させても、日蓮の真蹟についての知識は身につかないでしょう。また他の刊行版との相違点もわからないので、創価学会はさながら信徒に日蓮遺文を真剣に学ばせるつもりがないのではないかとさえ思えてきます。
また目録の写本や真蹟の所在も旧堀日亨版より詳しくなっておりまして、例えば『開目抄』なら、きちんと「身延曽存」(かつて身延山に明治8年まで現存していたこと)が紹介され、また身延山久遠寺21世の寂照院日乾真蹟対校本の存在も記載されています。
この『編年体御書』、昭和48年発刊ですが、昭和50年代後半から次第に使われなくなり、絶版となります。当時『原殿御返事』と『美作房御返事』はこの『編年体』にしか収録されておらず、非常に重宝した記憶があります。
こういうものを少しずつ絶版にし、信徒が学ぶための史料を絶版にして読ませなくする教団の姿勢はやはり批判されて然るべきなのではないでしょうか。現在、『日蓮大聖人御書辞典』は『仏教哲学大事典』第3版に編集されたとして絶版になりました。また堀日亨編の『富士宗学要集』、また堀日亨『富士日興上人詳伝』等と現在は絶版です。
「御書辞典のこと。」