いつもみなさん、ありがとうございます。
ではこの『富士宗学全集』134巻を、現在読むことはできないのでしょうか。
結論から言うとできません。『富士宗学要集』第10巻の跋文によれば、毛筆本は全部で3本あったようですが、うち一つは戦災で失われ、一つは創価学会に、一つは大石寺にあるようです。大石寺富士学林の教学研究書には、ほぼ同内容が収録されていますが、富士学林は僧侶専用の教育機関ですから、一般の目には触れることができません。
昭和32年11月に堀日亨氏が亡くなり、『大白蓮華』では、追悼特集として座談会が掲載されました。今回はその複写を史料として入手しましたので、その中から紹介したいと思います。複写なので、大白蓮華の具体的な号数が不明なのですが、昭和32年12月以降の『大白蓮華』かと推測されます。追悼座談会の参加者は小泉隆、原島宏治、柏原ヤス、辻武寿、石田次男、小平芳平、池田大作、龍年光、司会は多田省吾です。
池田 この宗学全集のことにつきましてちょうど二年くらい前に、吉川英治の新平家物語が出ましたね。あのとき、吉川英治の著書が、出版としては立派だという話が出ましてね。『同じ出版でも、あれほどになれば大したものですね』といつたら、先生が、『あんなのはダメだ。オレがほんとうに出版したいと思うのは、ただ一つ、堀猊下の富士宗学全集だ。これ以上の物はない』とおつしやつたのです。