気楽に語ろう☆ 創価学会非活のブログ☆

創価学会の元非活メンバー(現在は退会済み)による語り

「上行無辺行」と「浄行安立行」という書き方。




いつもみなさん、ありがとうございます。



さて今回は大石寺66世の細井日達書写の御守り本尊の書法についてです。
私の父もこの御守り本尊を持っていて、子ども心に中のものを見せてもらったことを思い出します。

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この書き方で非常に気になったのは、四菩薩の書き方です。通常ですと「上行菩薩」「無辺行菩薩」「浄行菩薩」「安立行菩薩」はそれぞれ1行ずつで勧請し、4行になっています。ところが細井日達のこの御守り本尊では見ておわかりのように「上行無辺行菩薩」「浄行安立行菩薩」と2つを1つにまとめてしまっています。



この書き方は、日蓮の書法にもあまり見られない書き方です。大石寺の根本本尊である戒壇本尊では四菩薩はそれぞれ1行ずつで書かれており、最上段は釈迦・多宝如来と合わせて6行の編成になっていることは、画像からも確認できます。



「大正5年縮刷本『日蓮上人』掲載の戒壇本尊画像」



では、日蓮が書いた本尊で実際に「上行無辺行菩薩」「浄行安立行菩薩」と2つを1つにまとめた書き方のものは存在するのでしょうか。
数少ないながら、実はそれらの例は確かに存在します。


1、文永10年?、佐渡妙宣寺蔵、女人成仏本尊
2、文永11年、佐渡妙宣寺蔵、阿仏坊授与本尊
3、建治2年8月13日、京都本満寺蔵、亀若護り本尊
4、建治2年8月13日、大阪市某家蔵
5、弘安元年3月16日、市川市中山法宣院蔵、病即消滅本尊



以上の5幅のものが、確かに「上行無辺行菩薩」「浄行安立行菩薩」と2つを1つにまとめる書き方をしています。他の日蓮書写本尊には見られない特異な書法になります。
以下に紹介するのは、建治2年8月13日の「亀若護り本尊」で、確かに上行と無辺行とを1行にまとめて書いているのが確認できるかと思います。これらの書法は弘安元年以降には見られない書き方であって、文永後期から弘安元年までの短い期間のみに用いられていたことがわかります。

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当然のことながら、細井日達の御守り本尊の書き方は、戒壇本尊の書き方とも異なり、日蓮の弘安元年以前の書き方を踏襲しています。
戒壇本尊以外の本尊を「一機一縁の本尊」と呼び、戒壇本尊を根本にしない全ての本尊に功徳はないとする大石寺という宗派の法主が、なぜ他宗派の「一機一縁の本尊」、しかも弘安元年以前の書法に倣って本尊書写をしなければならないのでしょう。


日興書写の本尊を見ると、日蓮書写本尊を厳密に書写しようとする厳格な姿勢を感じます。それなのに日興門流である筈の大石寺法主書写本尊からは、根本である筈の戒壇本尊を厳密に書写する意志が殆ど感じられません。