みなさん、いつもありがとうございます。
さて今回は日蓮の花押についてです。
花押とは本人の自署の証明として書かれるサイン代わりの記号のようなものです。
「梵字『バン』について」
「不動と愛染と虚空蔵」
ところで、これには異説もありまして、例えば片岡随喜氏、また山中喜八氏らは日蓮の花押を「漢字の『妙』を形態化したものではないか」としています。
日興筆による『日蓮聖人御遷化記録』(西山本門寺蔵)には、各紙の継目裏に六老僧のうち4人(日昭、日朗、日興、日持)の花押が遺されています。なおこの時、日向と日頂の二人は「他行」していてこの場には居合わせていませんでした。
冒頭の画像ですが、上から
1、弁阿闍梨日昭・花押
2、大国阿闍梨日朗・花押
3、白蓮阿闍梨日興・花押
4、(他行、佐渡公日向)
5、(他行、伊予公日頂)
6、蓮花阿闍梨日持・花押
となります。とりわけ日持の花押は「妙」によく見えます。また日昭花押に見られる「m」様の形は「妙」の字の右側「少」の変容であるとされます。また中山日常(富木常忍)の花押も「妙」の字によく見えます。
安易な結論は避けるべきですが、日蓮の直接の門弟たちが梵字による花押を使わず、漢字の「妙」字から花押を決定している可能性から考えても、日蓮の花押が梵字ではなく「妙」字から創案されたことは可能性として大いにあり得ると思います。