気楽に語ろう☆ 創価学会非活のブログ☆

創価学会の元非活メンバー(現在は退会済み)による語り

『立正観抄』では「妙法の一言」以外の血脈相承は否定されている。

 
 
いつもみなさん、ありがとうございます。
 
 
さて私は日蓮が真蹟遺文中から「血脈」という言葉を使ったことがないという事実を以前ブログで紹介しました。血脈という語が真蹟で語られておらず、偽書の疑いの残る文献ばかりで語られるので、「血脈」は本来日蓮の教義ではない可能性が高いのです。
 
「『生死一大事血脈抄』は後世の偽作である。」
 
 
さて、それでは真蹟が存在しなくても、古写本等で「血脈」が語られた、比較的信頼し得る日蓮遺文の例は存在しないのでしょうか。
今回紹介したいのは『立正観抄』です。同抄は確かに真蹟不存ですが、録内であり、久遠寺3世日進の写本が現存します。
ではこの『立正観抄』で「血脈」はどのように語られているのでしょうか。
次のように書かれています。

「問う天台此の一言の妙法を証得し給える証拠之有りや、答う此の事天台一家の秘事なり世に流布せる学者之を知らず灌頂玄旨の血脈とて天台大師自筆の血脈一紙之有り、天台御入滅の後は石塔の中に之有り伝教大師御入唐の時八舌の鑰を以て之を開き道邃和尚より伝授し給う血脈とは是なり、此の書に云く「一言の妙法・一教の玄義」文、(中略)此の両大師の血脈の如くならば天台大師の血脈相承の最要の法は妙法の一言なり」
日蓮『立正観抄』創価学会旧版御書全集531ページ)
 
「天台伝教の解釈の如くんば己心中の秘法は但妙法の一言に限るなり、然而(しかして)当世の天台宗の学者は天台の石塔の血脈を秘し失う故に天台の血脈相承の秘法を習い失いて我と一心三観の血脈とて我意に任せて書を造り錦の袋に入れて頸に懸け箱の底に埋めて高値に売る故に邪義国中に流布して天台の仏法破失するなり」
(同532ページ)
 
 
ここで、日蓮は「止観勝法華」とする血脈相承観を何と否定して強い口調で批判しているのです。ご覧になられてわかるように明確に「妙法の一言」以外の血脈相承を日蓮はここで否定しています。それどころか智顗の「妙法の一言」以外に何か特別な血脈があるかのように偽り、偽書を作り、高値で売ったが故に「邪義」が国中に広まって智顗の教えが失われたとさえここでは書かれているのです。
 
したがって『立正観抄』から考えられる日蓮の血脈とは、非常にシンプルな「妙法の一言」なのであり、これ以外の血脈を日蓮は存在しないとしていることになります。
 
 
参考文献
松岡幹夫『日蓮正宗の神話』論創社、2006年