いつもみなさん、ありがとうございます。
聖教新聞の創刊は1951年4月です。つまりまるまる30年分が所蔵さえされていないことになります。
大白蓮華も1949年7月創刊なのに、公開しているのは1971年1月以降のみ。つまりまるまる20年分が原則、見ることができないということです。
さてそんな状況下で、ジャーナリストとして筆者は、1000ページに及ぶ戦前の『価値創造』及び『新教』のコピーを入手。史料をもとに描き出される戦前から戦時中の創価学会の歴史は、信徒の会員こそまさに知るべきものだと思います。
「戸田城聖氏の帝国海軍への賛辞。」
「興亜聖業とは。」
「通牒のこと」
加えて、高橋篤史氏の著作で興味深かったのが、『価値創造』に掲載されたというヒトラーの記事のことです。
当時、『価値創造』は創価教育学会員に無償で配られていた機関誌でした。
この記事を書いたのは松島烈雄という人物でして、高橋篤史氏の著作によれば、イェーリングの『権利のための闘争』の翻訳者で、出版関係者と見られています。
日本はこの頃、日独伊三国同盟を結んでおり、軍事的関係を緊密なものとしていましたので、このようにヒトラーを肯定的に評価するのは当時の時代背景として自然なことであったのでしょうが、最大の問題は、これが創価教育学会の機関誌に掲載され、創価教育学会によって肯定的にヒトラーが評価されていたという事実の方です。
日本語訳とともに松島烈雄氏は、読者への便宜として小見出しを付していました。
「自然の『克服』といふ言葉に就いて」
「凡べての偉大なる革新に就いて」
「大衆の心を捉へるに就いて」
「ユダヤ系新聞の中傷誹謗に就いて」
高橋篤史氏の著作での要約によれば、
1、自然を支配しているわけではなく人間はわずかな自然法則や秘密を知っているに過ぎないこと。
2、偉大な革新を主張する人間は最初一人しかいないが支持者は無数に存在し、選挙時の棄権者や狂信的な極左思想を持つ人々がそれにあたること。
3、大衆の心を捉えるのは意思の力によること。
4、不倶戴天の敵から誹謗中傷されることこそが運動をより強固なものにすること。
となります。
ここではヒトラーの著作を紹介するだけで、特に論評をされてはいないようです。しかしながら松島烈雄氏はヒトラーを「現代の転輪聖王」と好意的に評価しており、ここで当時の創価教育学会自体がヒトラーを肯定的に評価していたのがわかります。
当時の創価教育学会が戦争になんら反対の意志を示してなどいなかったことは、このことからも明瞭にわかる気がします。
参考文献