いつもみなさん、ありがとうございます。
さて今回は題目「南無妙法蓮華経」の発音についてです。
当然のことですが、現代の日本語と鎌倉時代の日本語とではそもそも発音が全然違います。
鎌倉時代当時の日本語は現在の言語学研究では「中世日本語」と考えられています。12世紀後半には貴族政治から武家中心の封建社会に変化し、日本語も京都の言葉から次第に東国・関東の影響を受けるようになっていきます。
「御消息に云くめうほうれんくゑきやうをよるひるとなへまいらせ」
(創価学会版御書全集1404ページ)
真蹟中で実際には「免う本うれんくゑきやう」と書かれていまして(画像冒頭参照)、この発音が果たして現代の「みょうほうれんげきょう」と同じであるのか、私には大いに疑わしいと思います。
創価学会の題目は異様に速くて「なんみょうほうれんげきょう」がほとんど「なんみょれんげきょ」とか「なんもれんご」とか「みょーげきょーなみょーげきょーな」とかにまで聞こえます。大石寺の題目も似たようなものですが、日蓮宗では概ね「なむ」をはっきり「なむ」と発音することが多いです。
とりわけ「めうほうれんくゑきやう」のうち、「くゑ」は現代日本語では失われた「ゑ」が入っていまして、これは現代の「け」よりも少し〔kwe〕に近かったと考えられます。
またハ行の発音に関して、h音は平安時代中期にw音と統合したため、「は」は現代の発音より「ふぁ」の方にむしろ近く、また「ほ」は現代より「ふぉ」に近かったと考えられます。
そうなると「なむめうほうれんくゑきやう」の発音は「なんみょうほうれんげきょう」よりむしろ「なむみょうふぉうれんぐぇきょう」に近かったのではないかとも思ったりします。