気楽に語ろう☆ 創価学会非活のブログ☆

創価学会の元非活メンバー(現在は退会済み)による語り

『不動愛染感見記』は日興から日目に付属された。

 
 
いつもみなさん、ありがとうございます。
 
 
さて今回は日蓮真蹟『不動愛染感見記』の伝来について、書いてみたいと思います。
この書は日蓮真蹟でありながら、日蓮が立教開宗翌年の建長6年(1254年)に「大日如来からの相承」を主張している文書です。したがって創価学会日蓮正宗にはよほど都合が悪いのか、創価学会版御書全集にも、日蓮正宗の平成新編御書全集にも収録されていません。ちなみに『不動愛染感見記』の真蹟は保田妙本寺に現存しており、国の重要文化財に指定されています。
 
 
この文書は『不動愛染感見記』という名の通り、『愛染感見記』と『不動感見記』の二つに分かれて現存しています。
『愛染感見記』には「生身愛染明王拝見正月一日日蝕之時」と書かれた後、愛染明王の絵が太陽の化身とされる八咫烏とともに描かれ、その左に「自大日如来日蓮廿三代嫡々相承建長六年六月廿五日日蓮授新仏」と書かれています。
また『不動感見記』には「生身不動明王拝見自十五日至十七日」と書かれた後、不動明王の絵が月と兎とともに描かれ、左には「自大日如来日蓮廿三代嫡々相承建長六年六月廿五日日蓮授新仏」と書かれています。

 
つまり日蓮本人が「生身の不動明王愛染明王とを感得・拝見し、大日如来から23代目の嫡々相承を建長6年6月25日に授けられた」と記録して残していることになります。
確かに日蓮曼荼羅本尊を書写する際、首題の左右に不動明王愛染明王梵字で書くことが多いです。読者の方もお分かりのように不動明王愛染明王法華経とは何の関係もない密教の諸尊です。しかも不動明王大日如来の化身にあたります。法華経に載っていない筈なのにそれらを本尊上に日蓮が書くということは、この『不動愛染感見記』がほぼ唯一の日蓮自身の不動愛染勧請の根拠になるものです。つまり日蓮自身が「大日如来から相承を授かった」故ということになります。
 
これは真言宗を「邪宗」としてかつて否定していた創価学会日蓮正宗、また顕正会といった大石寺系教団からは都合が悪く、だからこそ教団の御書全集に収録されず、信徒の目に可能な限り触れさせない方針をとっているのかと思われます。
 
ところで『不動愛染感見記』の存在や由来が、史料として記録されたものは何があるのでしょう。
高森大乗氏(立正大学元准教授、日蓮宗勧学院嗣学)の指摘によれば、同抄を収録した版本中で最も古い記録は永禄3年(1560年)、京都要法寺・広蔵院日辰の『祖師伝』になります。同書は大石寺59世の堀日亨編『富士宗学要集』に収録されています。
以下は堀日亨編『富士宗学要集』第5巻33〜34ページの『祖師伝』中の『不動愛染感見記』の記録ですが、何とここでは『不動愛染感見記』が「日興から日目に付属された文書」であることが記録されているのです。
以下に当該ページの画像を載せますので、ご自身の目で確認してください。

 
ここにはきちんと「右の一紙日興日目に付属し玉ふ今房州妙本寺に在るなり」(『富士宗学要集』5-34ページ)と記録されています。しかも堀日亨氏は史実と相違する事項に関して頭注を付するのが普通ですが、この当該ページに頭注は一切付されていません。したがって堀日亨氏も史実として「『不動愛染感見記』が日興から日目に付属され、それが保田妙本寺に伝来した」ことを認めているのです。
したがって日蓮の思想には明確に法華経以外に真言の影響が存在し、それが真蹟として『不動愛染感見記』に記録され、その文書は日興から日目へと付属されたことになります。確かに保田妙本寺は日目門下の日郷によって創建された寺ですから、その信用性は高いと考えられます。
 
 
参考文献
高森大乗「日蓮遺文『不動愛染感見記』小考」、『印度学仏教学研究』第50巻第1号所収、平成13年12月。
 
 
追記(2023.9.4)
台密を肯定するから問題ないのだとする日蓮正宗信者さんがいるのですが、では「日蓮は円仁と円珍を肯定しているのか?」という問いには全く回答できない醜態を晒しているんですよね。
日本で台密を完成したのは円仁と円珍以降ですけど。日蓮台密を認めたと言うことは円仁と円珍の思想を認めたと言うことなんですかね?
日蓮は円仁と円珍を批判したのではなかったのでしょうか。
それとも台密最澄から始まるというなら、最澄の遮那業を認めることになり、遮那業を認めるなら、最澄が遮那業の根本とした『大毘盧遮那成仏神変加持経』を認めることになりますけど?
それなら日蓮正宗は止観業とともに最澄が言うように遮那業も修行すると言うことなのですかね? 毎日の勤行で遮那業をやっているのでしょうか? 反論すれば反論するほど日蓮正宗信者は教義の綻びが露呈されてしまうので、あんまり反論しない方がよいと思います。