みなさん、いつもありがとうございます。
さて今回は「樒」(しきみ)について考えてみたいと思います。
創価学会の各家庭の仏壇では最近はプラスチック製のおしきみなんかを飾っているところも多くなりました。手入れが楽だからでしょうね。
ところで、樒は実は本来密教において用いられた香木だと言ったら多くの方は驚かれるでしょうか。
そもそもしきみを漢字で書くと「樒」と書きますが、この由来は密教の修行や供養に用いられたことから来ています。
この樒は空海が青蓮華の代わりとして修行に用いたとされています。
例えば真言の結縁灌頂の儀式というものがあります。これは目隠しをされた僧侶が別の僧侶に手を引かれて、指で樒の葉をつまんで敷かれた曼荼羅の上に落とすというものです。ここで樒の葉が落ちたところの絵の仏に結縁する儀式が行われたりします。
また法華経方便品には「木櫁」という語が見られます。ここから法華経において仏前荘厳の儀式に「櫁」すなわち「樒」を用いることになったのだろうとも思いますが、これは法華経梵本では"devadaru"という語で、本来の意味は「松の種の木」です。つまり「マツ科の香木などを用いて仏塔を作って供養する」というのが法華経方便品の本来の意味するものなのですが、それが時代を経るうちに変化し、漢訳される段階で「木櫁」と変わったのだろうと推察されます。
参考文献:
池田伊佐夫「仏事におけるシキミの役割に関する考察」中央学術研究所紀要第36号、2007年。