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大石寺写本『御義口伝』の改竄。


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※画像は1295年刊行の徐行善による『科註妙法蓮華経』の画像です。




いつもみなさん、ありがとうございます。
さて『御義口伝』には以下のような一節があります。

「補註の四に云く此の開塔見仏は蓋し所表有るなり、何となれば即ち開塔は即開権なり見仏は即顕実なり是れ亦前を証し復将に後を起さんとするのみ、如却関鑰とは却は除なり障除こり機動くことを表す謂く法身の大士惑を破し理を顕し道を増し生を損するなりと。」
(御書全集741ページ)


ところでこの引用は『補註』であるとされていますが、実はここを『補註』としているのは大石寺版の御書のみで、それ以外の版では全て『補註』ではなく『科註』とされています。


この引用部分は宋の従義の著作である『法華三大部補註』ではなく、実は元の徐行善によって編集された『科註妙法蓮華経』に正しく存在しています(記事冒頭の画像参照、また以下のウェブを参照のこと)。
(ウェブで参照される場合は第4巻の48ページ目を検索して頂くと当該の箇所をご覧頂けます。)


実はこのことは池田大作の『御義口伝講義』でも指摘されています(『御義口伝講義』上、23〜24ページ)。


徐行善の『科註妙法蓮華経』の刊行は元貞改元元年、つまり1295年です。日蓮滅後13年に刊行されています。
つまり『御義口伝』には日蓮滅後13年に編集された『科註』の引用がされているということです。そして大石寺版ではそのことを隠すかのように「科註」の文字を「補註」に改竄しています。
したがって『御義口伝』は後世の創作・偽書の可能性が高いということであり、大石寺の写本ではそのことがまるで覆い隠されているかのように『科註』を『補註』と改竄してあるのです。



このような改竄は、以前にブログ記事で指摘したように、例えば『本因妙抄』にも見られます。つまり大石寺は自山の都合の良いように写本も改竄してきたのかと考える方が自然でしょう。『御義口伝』の信用性の低さはこのことからも推察できるかと思います。
そもそも最古の写本が天文8年(日蓮滅後257年)の他山の八品派のものしか提示できない現状で、どうやって自山の正統性を証明できるというのでしょう。噴飯ものというものです。



参考文献:
朴鎔辰『元代『科註妙法蓮華経』の刊行と流通』印度学仏教学研究第64巻第2号、平成28年3月。