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「儒教における孝養」
「『貞観政要』のこと」
具体的には『開目抄』『報恩抄』『下山御消息』『持妙法華問答抄』『諫暁八幡抄』『曾屋入道殿許御書』『法蓮抄』『兄弟抄』『頼基陳状』『千日尼御前御返事』『刑部左衛門尉女房御返事』で『孝経』について言及されています。
以下の画像は『報恩抄』です(創価学会旧版御書全集293ページ)が、ここで日蓮は「外典」として『孝経』を引き、「父母・主君の心に従うべきでない時は、かえって父母・主君を諌めていくのが真実の忠臣・孝人である」ことが述べられています。これはまさに『立正安国論』の思想と言えるでしょう。
気になって上記の11編の遺文を調べたのですが、『持妙法華問答抄』『頼基陳状』『刑部左衛門尉女房御返事』以外の8編全てが日蓮真蹟です。しかも『頼基陳状』は日興写本が北山本門寺に現存しています。ということは、日蓮が『孝経』から儒教の精神を学び、それを自身の行動原理としていたことは日蓮真蹟から見ても間違いないことなのです。具体的に挙げてみましょう。
『開目抄』の該当箇所は同223ページ。
真蹟は身延曽存。
『報恩抄』の該当箇所は同293ページ
真蹟は一部が池上本門寺蔵、身延曽存。
『下山御消息』の該当箇所は同364ページ。
真蹟は京都本圀寺他各所に散在。
『持妙法華問答抄』の該当箇所は同466ページ。
真蹟は不存。六老僧日持の代作説。
『諫暁八幡抄』の該当箇所は581ページ。
真蹟は上条大石寺現存。異本が身延曽存。
『曾屋入道殿許御書』の該当箇所は同1030ページ。
真蹟は中山法華経寺に現存。
『法蓮抄』の該当箇所は同1046ページ。
真蹟は身延曽存、一部は京都本圀寺蔵。
『兄弟抄』の該当箇所は同1085ページ。
真蹟は池上本門寺他に現存。
『頼基陳状』の該当箇所は同1159ページ。
真蹟は不存。日興写本が北山本門寺に現存。
『千日尼御前御返事』の該当箇所は同1311ページ。
真蹟は佐渡妙宣寺に現存。
『刑部左衛門尉女房御返事』の該当箇所は同1399ページ。
真蹟は不存。
したがって、日蓮の行動原理には仏教ではない儒教の影響が明確に存在するのであって、日蓮は『孝経』や『貞観政要』等を通じて外典の儒教を学び、その思想から国家諫暁や『立正安国論』の提出といった行動をとったことが言えると思います。