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さて日蓮は念仏を「四箇の格言」で「念仏無間地獄」としました。果たしてこれは正しいと言えるのでしょうか。
日蓮は『立正安国論』で「所依の浄土三部経の唯除五逆誹謗正法の誓文に背き」(旧創価学会版御書全集23ページ)と述べていまして、浄土経典における「唯除五逆誹謗正法」の文を根拠として「正法」としての法華経を誹謗するからこそ、念仏が無間地獄の教えであることを主張するのが日蓮の立場なのでしょう。
日蓮は漢訳仏典の成立年代を、天台の五時八教判に依拠して決定する立場です。
天台五時八教判では「方等部」が30年説かれ、その後に「般若部」が説かれ、最後の8年が「法華涅槃部」になる筈です。
それが正しいとするなら、なぜまだ説かれてない、存在していない法華経を「正法」と定義できるのでしょうか?
無量寿経が説かれた時点で、法華経のことを予見していたとするなら、当該部分は「唯除五逆誹謗正法」ではなく「唯除五逆誹謗妙法蓮華経」と書かれなければならないでしょう。しかしそれは書かれていない。文意から考えても、五時八教判の時系列から見ても、ここで書かれた「正法」とは無量寿経自体のことを指していると捉えるのが自然です。それを強引に「正法だから法華経だ」と主張するなら、単なるこじつけであり、牽強付会の批判を免れないでしょう。