気楽に語ろう☆ 創価学会非活のブログ☆

創価学会の元非活メンバー(現在は退会済み)による語り

新版御書全集には底本の記載がない。




いつもみなさん、ありがとうございます。



さて2021年11月18日に、創価学会は新版の御書全集を発刊しました。
私など平楽寺版で日蓮遺文も読めますから、わざわざ屋上屋を架してまで新しい御書を買う理由はありません。
ところで、この新版御書全集、旧御書全集との対照表が2021年12月19日付の聖教新聞6〜7面に掲載されていました。

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見て驚いたのは、旧御書全集にあった『御義口伝』も『百六箇抄』も収録。偽書の疑いの濃い『本因妙抄』『産湯相承事』も全部同じように収録しています。
読んでいて思うのですが、この新版御書全集、底本の記載がないんです。つまり何を基準にしてこの遺文を載せたのかという文献的根拠が全く示されていないということです。
だいたい『御義口伝』や『本因妙抄』を収録するなら、『本尊三度相伝』や『御本尊七箇相承』も収録した方がいいのではありませんか。



日興関連の文献で、以前は編年体にしか収録されていなかった『美作房御返事』『原殿御返事』が今回収録されますが、それなら『本門弘通事』『三時弘経次第』『神天上勘文』なども収録して良いのではありませんかね。


要するに基準が不明瞭なんですね。
何を入れて何を抜くのか、その理由は何なのか、底本は何なのか、どういう研究成果を参考にするのか、真偽未決も含めるならその根拠は何か、そういったことに全く答えていません。


立正安国論』は広本と略本が知られますが、どちらを載せているのか。略本のみを採用するなら理由は何か。
『開目抄』は真蹟身延曽存ですが、その底本はどうするのか、日興写本は開目抄要文に過ぎませんから、どこの何を底本としたのかが問われてくるでしょう。
そもそも日蓮真蹟との対照の上で、きちんと編集はされているのか、誤記があったのならどこをどう直したのか、真蹟との対照は何によって行ったのか、日蓮真蹟遺文集成からなのか、実地調査を行ったのか否かも全くわかりません。
真偽未決のものも含まれているようなので、その場合はどこの写本や現行版を底本としたのかが問われるでしょう。少なくとも写本や真蹟所在が旧御書全集には目録で載っていたのですが、今回の御書はそれさえありません。



単に資金力にものを言わせ、現行本に付録をして文字のフォントを大きくして見やすくして「一丁上がり」だとしたら、日蓮に対する冒涜にもなりかねないと思います。
史実を大切にしない日蓮正宗創価学会のような大石寺系教団が、底本を明らかにしない御書全集を発刊しても、その目的を疑われるだけかと思います。真摯に史料から遺文を決定する学問的誠実さに彼らは欠けていると思います。