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さて、このブログで何度か教学的な検討を重ねて論じたことですが、日蓮の思想はどちらかと言えば個々の民衆の救済にあるのではなく、国家の奉ずる宗教の方を重視する立場にあったと言えます。
「善悪に付て国は必ず王に随うものなるべし。
世間此くの如し仏法も又然なり、仏陀すでに仏法を王法に付し給うしかればたとひ聖人・賢人なる智者なれども王にしたがはざれば仏法流布せず、或は後には流布すれども始めには必ず大難来る、迦弍志加王は仏の滅後四百余年の王なり健陀羅国を掌のうちににぎれり、五百の阿羅漢を帰依して婆沙論二百巻をつくらしむ、国中総て小乗なり其の国に大乗弘めがたかりき、発舎密多羅王は五天竺を随へて仏法を失ひ衆僧の頸をきる、誰の智者も叶わず。」
つまり民は王に従うものであり、王に従わなければ「仏法流布」は難しい、流布しても大難が来ることを日蓮自身がここで指摘しています。