気楽に語ろう☆ 創価学会非活のブログ☆

創価学会の元非活メンバー(現在は退会済み)による語り

『注法華経』のこと。




いつもみなさん、ありがとうございます。



さて少し前の記事で、日興『宗祖御遷化記録』に遺された日蓮の遺言には「釈迦立像」と「注法華経」のことが書かれていることを述べました。


「『御遷化記録』の遺言は釈迦立像と注法華経


ところで、後世に残すように指示された『注法華経』について、創価学会大石寺系信徒はほとんど何も知りません。日蓮門流なのに「注法華経」の存在さえ知らない人が少なからず存在します。
では「注法華経」とは何でしょうか。私にはあまりに自明のことだったので、気にも留めていなかったのですが、「注法華経って何ですか?」という質問が多くあるので、少し書いてみようと思います。


『注法華経』とは、日蓮自身が所持した法華経三部経に経論釈の要文を注記として書き入れたものです。この真蹟は静岡県の妙法華寺に現存します。以下は日蓮真蹟『注法華経』の画像です。

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注記は主に天台教学関係、智顗や湛然の釈を中心に、華厳や真言など2,000以上の要文を書き入れていますが、日蓮本人の解釈は加えていません。
この『注法華経』の成立年代ですが、立教の比較的初期に書かれながら、佐渡以降の弘安期、身延以降にも更に注記されているので、日蓮が生涯にわたってこの『注法華経』を書いていたことがわかっています。
経論釈の要文を書写し、研究の糧としていく日蓮の勉学のあり方は、日蓮の修学期から身延の時期まで一貫したものであり、典籍の収集も困難な当時の時代背景の下、手に入る経論釈要文を生涯にかけて注記して学んでいく、日蓮の真摯な学びの姿勢が窺えます。



ところで、創価学会大石寺系教団の信徒たちは、この『注法華経』で何が書かれているのか、ほとんど全く知りません。
純粋で正統な日蓮の末流を自称するなら、せめて『注法華経』の要文、その経論釈は日蓮にあってはどのような意図で書かれたものなのか、きちんと提示し、その考えを示すべきであると思うのですが、創価学会日蓮正宗のような大石寺系教団は、日蓮が生涯にわたって研鑽し続けた『注法華経』と、そこに込められた宗祖の思いについて、何も感じない人たちのようです。



参考文献
関戸堯海「日蓮撰『注法華経』成立に関する私見」、『印度学仏教学研究』第52巻第1号所収、平成15年12月。