気楽に語ろう☆ 創価学会非活のブログ☆

創価学会の元非活メンバー(現在は退会済み)による語り

日興と慈遍の神天上の法門。




いつもみなさん、ありがとうございます。



さて昨日の記事で書いたことですが、日蓮は『立正安国論』で「神天上の法門」を述べ、世の人々が正法である法華経に背く故に天照大神、また神々が法味に飢えて守護すべき国土を棄てて去ってしまうと考えていました。日蓮にあっては、天上の神々の実在性は確信されたものであり、日蓮は神々の存在を信じていることが大前提になっています。



ところで、日蓮の弟子の日興が書いた『神天上勘文』で次のような部分があります。



「其の上は此宗独り神去の法門を立るに非ず。天台の止観に宗廟社稷の神を釈し給へり。宗廟とは権者の神也。社稷とは実迷の神也。五穀の精也。叡山慈辺僧正は日登と名乗り給ふ也。而るに此人破邪持国論と申論一巻製作し給ふ也。此論は真言等の邪義を破し妙法を持て国土を安んぜしむる也。此論に専ら神去の法門之を立て、神に於て十七種の不同を立る也。(中略)さて有覚神とは権者の神にて御座候也。此神は止観に明す所の宗廟神と之同じ也。此神法味に飢て国を去る、国土の神にて御座候。」
(日興『神天上勘文』日興上人全集263〜265ページ)



日興もまたここで比叡山慈遍の『破邪持国論』という著作を紹介し、自身の神天上の法門が自分たちだけの考えではないことを述べています。
慈遍は吉田兼好の兄弟とされる人物で、その生涯に関しては不明な点も多く、この『破邪持国論』もどのような著作であったかわかっていません。ただここで日興が紹介しているところ、またその書名から推測するに、『立正安国論』を基にして書かれたものと考えられます。彼は後醍醐天皇の信任に厚かった天台座主慈厳に仕えています。また慈遍はその後、南朝方について伊勢神道を受容して、神国日本を永遠とする立場に立っていました。
その神国日本を信奉する慈遍の思想を日興が著作で紹介し、しかも日興本人が「此宗独り神去の法門を立るに非ず」とまで述べ、慈遍の思想と日興の考えが同じ立場に立っていることを示唆しているのです。


すなわち日興にあっても日蓮と同様に「神天上の法門」の立場に立っており、日蓮も日興も天照大神や神々の実在性を信じる立場にありました。そして日興は比叡山慈遍の「神国日本」の考え方と基本同じ立場にあったということになります。




追記
日興の『神天上勘文』は京都要法寺日辰、また大石寺了玄日精の写本が存在しています。興風談所の『日興上人全集』では要法寺日辰写本を底本とし、『日蓮宗宗学全書』では大石寺了玄日精写本を底本としています。