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IR誘致に前向きだった都市の中でも、特に横浜市は最有力と言われて、現在3期目の林文子市長を中心に力を入れてきました。
ところがここに来て、市長選が目前に迫り(2021年8月8日告示、22日投開票)、様子が激変しました。現在、名乗りをあげている10人の候補中、実に8人までがIR誘致に否定的なのです。その中にはなんと自民党の小此木八郎氏も入っています。
菅義偉総理は先月下旬頃から小此木氏支持で動くと同時に従来のIR推進の立場を変えました。影響を与えたのはこのコロナ禍のためで、小此木氏が「IRができても観光客は来ない」と主張し、菅総理が折れる形となりました。
自民党がそもそも高齢や多選を理由に林文子氏の推薦を見送ったところに本来の問題の根があるのですが、後継の人材が不足する中で、小此木八郎氏が出馬を決め、林文子氏は自民党を頼らずにIR推進を掲げて4選への意欲を見せたことで、自民党が割れる形となりました。
同党の更なる変節がよくわかるのは2018年6月19日、「カジノを含む統合型リゾート(IR)実施法案」(カジノ解禁法案)の衆議院採決の時です。この日、公明党議員は欠席した1人を除く27人全員が「賛成」したのです。
これによりカジノ解禁法が成立します。
そして今回の横浜市長選挙です。
公明党内でIR推進を後押しした議員は疑いなく遠山清彦氏です。遠山清彦氏はコロナ禍で国民に要請したルールを破って銀座の高級クラブに通っていたこと、そして資金管理団体がキャバクラに対して「組織活動費」として支出していたことが明るみになり、議員辞職に追い込まれました。
そして今回の横浜市長選挙で、公明党の支持団体である創価学会が、党側から何の説明もないまま「IR反対」として小此木八郎氏支持に回るなら「では今までのIR整備に対する迷走ぶりは何だったのか」を説明しなければならない筈です。
まあ、遠山清彦氏自身は、どちらかと言えば公明党よりも自民党に近い考え方を持っていた印象を受けますから、遠山氏が議員辞職をしたことをスケープゴートとして公明党全体が再び一斉にIR反対に寝返るのはわからなくもないのですが、少なくとも「観光立国」とか「インバウンド効果」とか言ってIR関連法を成立させてきた公明党が、ここに来て変節ぶりを発揮するのはいささか節操がないように私には感じられてなりません。
今度の横浜市長選挙は8月22日投開票ですが、果たして公明党支持層の創価学会員は、組織の打ち出し通り「IR反対」の小此木八郎氏に投票するのか、それとも「IR推進」の林文子氏に投票するのか、注目していきたいところです。
参考文献