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創価学会の元非活メンバー(現在は退会済み)による語り

広宣流布は誰に委任されたか。





いつもありがとうございます。
さて先日の記事で書いたように『法華経』中に「広宣流布」という言葉の用例は薬王品の1箇所しか存在せず、これは上行菩薩ではなく宿王華菩薩一人に託されていることを紹介しました。


広宣流布鳩摩羅什の造語」


実際に経文を見ると次のようになっています。

「是故宿王華。以此薬王菩薩本事品。嘱累於汝。我滅度後後五百歳中。広宣流布。」

読んでそのままですが、きちんと「広宣流布」は「宿王華菩薩」一人だけに託されています。しかも呼びかけの2人称は「汝」ですから単数ですよね。決して2人称複数ではありません。「宿王華」一人だけに釈迦が呼びかける形をとっています。


類似の部分はどうなのでしょうか。
例えば確かに嘱累品には「広宣流布」の用例は存在しませんが、「広宣此法」と「流布此法」という語は出てきます。これをもって上行菩薩広宣流布が託されたと読むことも可能かと思います。ただこの嘱累品を見ると2人称が複数になっていて、決して上行菩薩一人だけに託されているとは言えないことがわかります。


「今以付嘱汝等。汝等応当一心流布此法。広令増益。」

「今以付嘱汝等。汝等当受持読誦。広宣此法。令一切衆生普得聞知。」



とありますようにここで釈迦は会座の会衆に対して「一心流布此法」と「広宣此法」を付嘱したと考えられます。
ただ上の引用を見ればわかる通り、この委任は「汝等」つまり「あなた方」と呼びかける対象が2人称複数になっているということです。事実サンスクリット原本でも「良家の息子たちよ」と呼びかけの対象が複数になっています。決して一人だけに託されているのではありません。ここの嘱累品で上行菩薩は終わりの方に「及多宝仏、并上行等無辺阿僧祇菩薩大衆、舎利弗等声聞、四衆、及一切世間天人阿修羅等」として、ちょこっと顔を出すだけですから、この品で上行菩薩の一人だけに託したと解するのはやや無理があるかと思います。


他の品ではどうなのでしょうか。
例えば普賢菩薩勧発品では「広令流布」という用例が見られます。


「於如来滅後。閻浮提内。広令流布。使不断絶。」


これは経文中、普賢菩薩が釈迦に対して誓いを述べている部分です。つまりここは普賢菩薩本人が釈迦に対して「私が広令流布をしていきます」と誓っているんですね。


嘱累品、薬王品、普賢品の「広宣流布」に近い用例を見る限り次のように考えられます。


①嘱累品における「流布此法」「広宣此法」は「汝等」と会座の会衆全員に釈迦が呼びかけられており、上行菩薩一人だけに委任されたという文脈を読み取ることができない。

②薬王品では宿王華菩薩一人に対して「嘱累於汝、我滅度後後五百歳中、広宣流布」と明確に呼びかけられているので「広宣流布」という語句は「汝」一人だけ、つまり宿王華だけに託されたことが読み取れる。

③普賢品では普賢菩薩が「広令流布」をしていく旨、決意が述べられるので、もしも「広令流布」が「広宣流布」と同義だと考えれば「広宣流布」は上行菩薩だけでなく他の普賢菩薩たち、またその他の大衆にも同じように託されたという文脈になる。


という感じになるかと思います。